■データの出所

一般社団法人日本クレジットカード協会: クレジットカード不正利用被害額の発生状況

■データの概要

日常生活においてクレジットカードの利用はあたり前となっています。しかしながら、クレジットカードの不正利用というリスクを常に意識しながら利用している方も多いことでしょう。330.1億円という数値は、2021年におけるクレジットカードの不正利用被害の総額に関する数値です。一般社団法人日本クレジット協会が四半期ごとにデータを公表しています。ですが実際には被害に気付いていないケースや泣き寝入りしているケースもあるでしょう。また、同協会によれば調査対象は、国内のクレジット会社が発行したクレジットカードによる不正利用被害額であって、海外発行のクレジットカードの被害額は、この被害額には含まれていないそうです。そのようなことを考えれば、330.1億円という数値は氷山の一角であるようにも思えます。

■データの視点

このデータを2つ視点から捉えてみたいと思います。一つは時系列で被害額を見てみると、2021年に急激に被害額が増加している点です。下にグラフとして可視化してみました。内訳を見ると、クレジットカードの番号盗用による被害額が、2020年は223.6億円であったところ、2021年は311.7億円に急拡大しています。また長期視点で捉えれば、2014年の番号盗用の被害額は67.3億円ですので、7年間で4.6倍に拡大した計算になります。この事象はEC市場規模の拡大によるものと見てよいでしょう。もう一点は国内発生と海外発生の比率です(本コラムでグラフ化はしていません)。2021年の比率は国内75.5%、海外が24.5%と同協会は発表しています。コロナ禍で海外渡航している方が極端に少ない中、海外での発生が24.5%を占めているということは、越境EC等海外のECサイトの利用によって被害を受けたのではないかと推察されます。以上のことから、ECにおけるクレジットカード被害の状況は改善されていないということが言えるのではと思います。被害を防ぐために関係者の方々の努力は並々ならないものがあると推測しますが、犯罪がなかなか減少しないことをとても残念に思うばかりです。

出所:一般社団法人日本クレジットカード協会 クレジットカード不正利用被害額の発生状況