■データの出所

総務省統計局: 家計調査

■データの概要

1,527,267円という数値は、2021年の年間物販支出総額(総世帯ベース)です。すなわち個人消費の金額に関するデータです。しかしながら個人消費には物販以外にもサービス分野などがあります。もちろん家計調査にはそれらの金額も掲載されており、参考までの全ての支出総額は、2,820,973円です。物販支出は全体の54.1%に相当する計算になります。家計調査はEC、実店舗関係なく全ての支出に関する統計データです。また、一度見ていただければわかるように、かなり細かい項目単位で支出額が算出されています。したがって、個人消費の動向をチェックする際、全体傾向であっても個別の消費財の単位であっても家計調査のデータは分析するのにとても役立ちます。ちなみに、経済産業省電子商取引市場調査におけるEC化率の算出では、家計調査のデータを分母として活用していました。政府統計として公開されていますので、一度ご覧になってみることをお勧めします。

■データの視点

さて、家計調査のデータの視点です。下のグラフをご覧ください。これは家計調査における年間物販支出総額の経年推移をグラフ化したものです。2021年は152.7万円(1,527,267円)ですが、2002年は157.1万円です。驚くことに、約20年の間、リーマンショックやコロナという、個人消費に影響を与える(と考えられている)大きな出来事があったにも関わらず、ほとんど変化がありません。裏を返せば実は消費者物価は上昇していないということも言えます。物価が低ければモノが安く手に入りますが、逆にデフレの温床となります。欧米諸国の物価はこの間上昇していますので、日本の個人消費がなかなか上昇しないことを個人的にとても気にかけています。原材料費の高騰やエネルギコストの上昇、ロシアによるウクライナ侵攻による世界経済への影響などから、じりじりと物価が上昇気味です。過度に急激な物価上昇は望みませんが、適正な物価上昇(物価形成)によって結果的に賃金上昇につながる流れが形成されればということを願っています。というようなことを、家計調査のデータを眺めながら思いにふける次第です。

出所:総務省統計局 家計調査