■データの出所
一般社団法人 全国スーパーマーケット協会、一般社団法人 日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会:2021年スーパーマーケット年次統計調査
■データの概要
上の3協会は、2021年7月~8月に国内にスーパーマーケットを保有する企業へのアンケートを実施し、その結果を「スーパーマーケット年次統計調査報告書」として取りまとめています。その中の一つに、ネットスーパーの実施に関する項目があり、14.6%が“実施している”と回答しています(n=267)。経済産業省の電子商取引に関する市場調査によれば、2020年のEC市場において「食品・飲料・酒類」のEC化率は3.31%(※1)と他のカテゴリーよりも相対的に低い値です。換言すれば伸びしろがあると言え、ネットスーパーはその切り札と考えられます。コロナ禍でネットスーパーの利用者が急に増加したとのニュースも目にしましたので、EC市場規模拡大の観点を望む観点で見れば、期待が持てます。
■データの視点
14.6%という値は全体を通じた回答率です。これを保有店舗数別に分解すると、
1~3店舗 3%
4~10店舗 7.4%
11~25店舗 17.2%
26~50店舗 25.9%
51店舗以上 41.2%
となっています。即ち、店舗数の多さ=企業規模の大きさとネットスーパーの実施率は比例の関係にあると言えます。ネットスーパーは経営体力が大きいほど実施しやすく、スケールメリットを得やすいということでしょう。一方で、同報告書には、売上高に占めるネットスーパー売上高についても業界推定値が記載されており、1.1%となっています。「食品、飲料、酒類」のEC化率よりも低いですね。保有店舗数別に見ると、11~25店舗が1.8%と最も高い値なのですが、それでも絶対値としては高くありません。大型のGMSやオイシックス等の動向を見ますとネットスーパーは活況を呈しているように目に映ります。しかし同調査のアンケートを見る限り、まだまだ全国的にはネットスーパーの利用度は高くないことが理解できます。実店舗に加えてネットスーパーも実施することは、企業側にとって追加的な労力やコスト負担が大きいと聞きます。 “労多くして実り少なし”といったところでしょうか。あるいは“売上が全体の1.1%しかないので、今後力を入れづらい”と思う企業もいることでしょう。いずれにせよ、今後の消費者の利用度や企業側の実施度合いに着目したいと思います。
■関連データ
※1 3.31% → 食品・飲料・酒類のEC化率(出所:経済産業省:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査))