【マンスリーReview】2022年4月

月単位で流通全般(ECを含む小売市場、物流、卸売)を振り返り、気になった出来事、ニュース、動向等を書き記します。

■商業動態統計(2022年2月確報分)※経済産業省

小売業全体の商業販売額は11兆523十億円と、前年同月比マイナス0.9%でした。相次ぐ値上げによって消費者のマインドがやや低下したことが理由かもしれません。一方卸売業全体の商業販売額は44兆648十億円と、こちらは8.6%の大幅な上昇です。1月がプラス10.92%でしたので、2か月連続での大幅な増加です。鉱物・金属材料卸売業がプラス36.7%ですので、資源の輸入価格の上昇が大きな要因と思われますが、食料・飲料卸売業もプラス3.1%です。これは輸入材料の高騰によるものと思われます。

■気になった決算情報

2022年Q1の米国Amazonの決算ですが、営業利益が8,934百万USDの赤字になりました。赤字は久しぶりです。北米、その他海外共に赤字ですが、AWSだけはしっかりと黒字です。AWSの売上は年々増加していますが比率はまだ20%以下です。しかしこの勢いが続くと将来的には大きな収益の柱になることでしょう。国内ですが、ファーストリテイリングの決算について、上期(’21/9~’22/2)のEC売上が前年同期比で1.9%減というのが気になりました。コロナの反動と同社は説明しています。Amazonとファーストリテイリングの決算を見て、コロナ禍においてEC売上の潮目が少し変化している気がします。

■楽天が「ラクマ公式ショップ」を本格提供開始

そういう手があったかと思うリリースです。楽天が130以上のリユース事業者と連携し、ラクマ公式ショップを開始しました。楽天らしい発想でしょうか。数年前まで同社はラクマのGMVをIR資料で公開していましたが、今は全く公開していないことから、メルカリに相当もっていかれているのではないかと思っていました。ある意味テコ入れ策ともとれる戦略だと思います。私はフリマアプリのGMVは1兆円を超えたところでそろそろ頭売りになるのではないかと予想しています。したがって、楽天のみならずメルカリもあの手この手でビジネスを拡大するステージに完全に突入していると思っています。

■Amazon上での成城石井によるネットスーパーが配送エリアを拡大

Amazonはライフ、バロー、成城石井とネットススーパー事業を展開しています。成城石井は高価格帯のスーパーですので、ライフ、バローとは異なりますが、いずれもAmazon上のネットスーパーのエリアを拡大している最中です。ある調査では年齢があがるほどネットスーパーの利用率が上昇するとの結果が出ています。水や米といった重いもの、冷凍冷蔵食品といった持ち帰りが面倒なものがネットスーパーでは人気であり、高齢者にとってはありがたいということでそのような傾向が出ているのでしょう。成城石井は高級路線ですので、そもそも出店エリアが特定されています。すなわち比較的お金に余裕のある高齢者層がネットスーパーでもターゲットかと思いますので、家まで配送してくれるサービスとして理にかなった戦略ではないかと思います。

■ハローフレッシュが日本上陸

世界No.1のミールキットブランド「ハローフレッシュ」が日本でサービスを開始しました。同社は世界17か国で事業を展開しています。日本はどうなるでしょうか?ミールキットと言えばOisixが頭に浮かびます。同社の売上は1,000億円を突破しました。また定期宅配という点では、あまり大きく取り上げられていませんが実は生協が大きな存在であり、2020年度の年間売上は2兆1,328億円と巨大です。ハローフレッシュの直接の競合はOisixで、間接競合は生協、そして競合の度合いは高くありませんが一般的なネットスーパーも広義の競合になるでしょう。まだ日本市場には伸び代があるとの目算での参入かと思いますし、確かに余地はあるとは思いますが、日本人の食に対する感覚は他国と異なると思われますし、またリテールの強さは世界トップレベルですので、どこまで同社が食い込めるか未知数だと思いますが、期待しましょう。

■アダストリア、「ドットエスティ」をオープン化

ドットエスティと言えばアパレルのサイトですが、アダストリアはこれをオープン化、言わばモール化しました。美容器具のヤーマンや、サンマルクカフェ、家電のsirocaなどが名を連ねています。コロナ禍でアパレルのECシフトが鮮明でEC化率は20%近くになってきておりますが、一方で実店舗に人が戻りつつあります。業界全体で捉えれば売上は逓減傾向ですので、多角化を目指そうとしているのでしょう。ヨドバシカメラのECサイトは家電ではなくもはや総合小売ですし、そういう意味で前例はあります。ポイントはやはり認知度でしょうか。アパレルブランドというイメージが強くありますので、これからどのような展開を見せるのか注目したいと思います。

■改正個人情報保護法の施行

個人情報保護法は定期的に改正されてきており、毎回内容が厳しくなっています。それだけ個人情報の取り扱い方が多様化しているということでしょう。世界的にも個人情報保護は相当厳しい状況ですので、日本も足並みを揃えていかなければなりません。今回は「個人の権利利益を害する恐れが大きい漏えい等の事態が発生した場合等における個人情報保護委員会への報告及び本人への通知の義務化」「個人データを海外の事業者等へ提供している際における、提供先の個人情報の取扱いに関する本人への情報提供の充実等」といったことがポイントとなっています。私は法律家ではありませんので、ここでは専門的な解説は控えておきます。詳しくは以下のサイトを参照いただければと思います。

https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/kojinjyouhouhogohouishohou202101
https://www.ppc.go.jp/news/kaiseihogohou_checkpoint/
https://pca.jp/p-tips/articles/br220301.html