■データの出所

日本貿易振興機構(ジェトロ):2021年度 ジェトロ海外ビジネス調査 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査

■データの概要

ジェトロによる毎年恒例の「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」の2021年度版が2022年1月31日に公開されました。2016年、2018年、2020年と隔年で実施されていた「電子商取引(EC)への取り組み」が、2021年度版は実施されています。本コラムのタイトルにある43.2%という数値は、国内外での販売において EC を利用したことがあると回答した中小企業の率です(n=1,448)。平成28年経済センサス‐活動調査によれば、法人会社企業数は1,629,286(※1)であり、そのうち90数パーセントが中小企業ですので、それを考えると43.2%はやや大きい値だと思います。おそらくはBtoC-ECだけではなく、企業間EDI(Electronic Data Interchange)といったBtoB-ECも対象としているのではないかと推察します。

■データの視点

中小企業のみならず大企業も併せて時系列でグラフ化してみました。「ECを利用したことがある」比率は、2020年度に中小企業が大企業を逆転していますね。そしてコロナ禍において中小企業のEC利用の傾向がさらに強まっていることをグラフより理解できます。また2つめのグラフ「EC利用を拡大する」の回答に関しても同様です。この2つのデータが示していることは、中小企業の方が大企業よりもEC活用の意欲が強いという点ですが、これが意味しているものは何でしょうか?おそらくは大企業は実店舗チャネルとのバランスで勝負できますので、必ずしもECだけに強く依存しなくても全体として売上が上がればよいという思想だと思うのですが、一方で経営資源の力量でどうしても劣ってしまう中小企業の場合、ECに活路を見出そうとする比率が高いということだと思います。ましてやコロナ禍ですので、中小起用はECに対して並々ならぬ想いを抱いていることでしょう。尚、繰り返しになりますが、この数値はBtoC-ECだけではなく、BtoB-ECも対象としているのでと私は見ています。その点をご留意ください。

■関連データ

※1 法人会社企業数(株式・有限・相互会社・合名・合資・合同)(出所:総務省統計局の平成28年経済センサス-活動調査)