■データの出所

株式会社電通: 2021年 日本の広告費

■データの概要

電通が毎年発表している「日本の広告費」について、2021年版が2月24日に同社より発表されました。このなかで、インターネット広告費は2兆7,052億円、前年比で21.4%増と大幅な上昇となっています。尚、インターネット広告費、マスコミ4媒体広告費、プロモーションメディア広告費を含む総広告費は6兆8,998億円と前年比で10.4%の増加となっています。2020年の総広告費は6兆1,594億円と2019年比で11.2%のマイナスとコロナ禍で異例のマイナス成長でした。コロナ禍2年目の2021年は2019年のレベルには戻っていませんが、回復基調といってもよいでしょう。インターネット広告費にスポットを当てると、総広告費がマイナスとなったコロナ禍1年目の2020年であっても2兆2,290億円と前年比で5.9%の伸びとなっています。2021年も10.4%増ですので、インターネット広告の勢いはいまだ衰えていないということでしょう。

■データの視点

2021年の日本のインターネット広告費について注視したい重要な点は、ついにマスコミ4媒体広告費(2兆4,538億円)を上回ったという点です。以下のグラフで直近5年間の推移を表してみました。2020年がかなり拮抗していましたので、このままだと2021年は逆転すると思われていましたが、結果は予想を裏切るものではありませんでした。インターネット広告費は4媒体広告費を大きく上回り、2022年以降もその差が広がるのではないかと予想します。テレビの視聴率が以前より高くなく、テレビ業界の凋落がたびたび報じられていますが、広告費の比較を通じその実態が浮き彫りになった感があります。換言すれば、テレビからインターネットへ広告予算の重点をシフトしつつある企業が多くいるということでしょう。ユーチューバーの台頭や著名芸能人のネットへの進出、SNSを通じたインフルエンサーの増加など、インターネット広告の世界は賑わっています。引き続きインターネット広告の世界をウォッチしたいと思います。