■データの出所

総務省統計局 経済センサス(平成28年)

■データの概要

日本は小売業の実店舗網が充実していると言われています。実際の数がどれくらいかですが、総務省統計局の経済センサスでは、小売業の拠点数は990,246となっています。内訳は、次の通りです。

・各種商品小売業 3,275
・織物・衣服・身の回り品小売業   140,465
・飲食料品小売業 299,120
・機械器具小売業 142,223
・その他の小売業 367,376
・無店舗小売業 37,088

執筆時点での経済センサスが少し古いこと、および拠点数には本社、支社等が(恐らく)含まれているであろうことがありますので、消費者が足を運ぶ拠点数がどれくらいの数かはわかりませんが、大きく外れていることはないでしょう。日本の人口1.26億人を用いて計算すると、人口10,000人あたりの小売拠点数は79となります。

■データの視点

990,246という数値が多いのか少ないのか、これだけではわかりません。そこで米国と比較してみましょう。米国労働省の統計によれば、同国の小売店舗数は‘’21Q3時点で1,057,733となっています。日本の数値とほぼ同じですね。しかしながら米国の人口は3.32億人です。日本より2.6倍米国が多いにもかかわらず、小売拠点数はほぼ同じです。面積ベースでも比較してみましょう。日本の面積は37.8万km2、米国は983.4万km2と日本の26倍です。26倍も広いのに小売拠点数はほぼ同じです。米国はただ広いだけとの突っ込みもありそうですが、それを差し引いても日本の小売店舗網が密に整備されていることが、以上の比較を通じてわかります。日本は生活圏、生活導線上に実店舗が存在していますので、わざわざECで購入しなくてもいいよという消費者が一定数存在するであろうことが想定されます。したがって、メーカーや卸売業者が実店舗を強く意識していて結果的に実店舗にとって便利なサプライチェーンが形成されてきたと言えるのではないでしょうか。このことが、EC市場規模拡大に向けた抑制要因のひとつとなっていると見られます。裏を返せば、実店舗をどのように有効活用するかが問われていると言えるでしょう。

出所:総務省統計局 経済センサス(平成28年)をもとにさk