■データの出所
国土交通省観光庁 2019年の訪日外国人旅行消費額(確報)
■データの概要
日本政府は2022年6月10日に外国人観光客の受け入れを再開すると発表しました。インバウンド需要に期待を寄せる関係者の方々にとっては、まさに喜ばしいことでしょう。パッケージツアーに限定されるということですので、コロナ前ほどの経済効果を期待することがまだ難しそうですが、段階的な緩和を期待します。ということで、コロナ前、インバウンドのピークであった2019年における訪日外国人消費額について触れたいと思います。この年には3,188万人もの外国人が日本を訪れ、合計で4兆8,135億円もの消費が行われました。日本の実質GDPは554.4兆円ですので、この額は約0.9%に相当します。相当の経済効果をもたらすものであり、観光立国を目指す日本としては一刻も早い回復が期待されます。
■データの視点
観光庁は訪日外国人消費額の内訳を、宿泊費、飲食費、交通費、娯楽等サービス費、買い物代、その他に分けて公開しています。それらの金額を2015年から2019年までの経年でグラフ化してみました。各年消費額の中で最も高い比率を占めるのが買い物代です。2019年で1兆6,690億円もの金額が消費されています。爆買いが一服し、モノ消費からコト消費へとシフトしていると言われていましたが、数字を見る限りモノ消費は2019年時点でも健在であったと言えます。ECの観点で捉えれば、訪日時に外国人観光客によって購入された製品について、越境ECを通じたリピート購入が期待されます。コロナ禍で訪日が叶わなかった時に越境ECを通じた購入ニーズはある程度あったでしょう。しかし、基本的に知名度が高い製品が対象であり、知名度が低い製品についてはなかなか難しい状況だったのではと推測します。実際に訪日した外国人観光客が新たな製品を知り、帰国後越境ECで購入するという循環を期待したいところです。そうすれば認知度のある製品の幅が広がり、結果的に越境ECによる日本製品のGMV増加につながります。そう考えればインバウンド需要と越境ECは相互作用の関係にあると言えますので、今回の訪日外国人受け入れ再開に関し、私はEC業界に係るものとして大いに期待を寄せています。
出所 国土交通省観光庁発表の訪日外国人旅行消費額(確報)に関する2015年~2019年分を基に作成