■データの出所

独立行政法人国民生活センター 消費生活年報2021

■データの概要

独立行政法人国民生活センターでは、全国の消費生活センターに寄せられた消費生活に関する苦情相談情報を取りまとめています。その中で2020年度におけるEC(同センターの表記上はインターネット通販)の件数は、220,667件だそうです。どのような内容が多いのかですが、上位から、①健康食品(16.6%)、②デジタルコンテンツその他(12.2%)、③化粧品(9.4%)、④商品一般(5.9%)、⑤アダルト情報サイト(4.9%)と同センターは発表しています。220,667件は2020年度の数値ですが、過去10年分の推移は次のグラフの通りです。

ECに関する相談件数の2011年度~2020年度までの経年推移(単位:件)

出所:独立行政法人国民生活センター 消費生活年報2021

■データの視点

2020年度は前年よりも大きく増加していますが、これは明らかに巣ごもり消費によるECの利用増が原因でしょう。ところが過去10年分の推移を見ると、2017年度、2018年度は前年比マイナスですので、長期トレンドとしては右肩上がりとまでは言えないでしょう。EC市場規模がこの間大幅に拡大していますので、EC市場規模との対比で捉えれば、発生比率は抑えられているとの見方ができます。しかしながら、次のグラフの通り、あらゆる販売手法・手口の中でECでの発生件数は断トツで多いことがわかります。ECの市場規模が拡大し、社会生活に馴染んでいることから、他と比較し圧倒的に件数が多いということでしょう。時の経過とともに新たな製品やサービスが登場するため、発生ベースで「このような表記は良くない」といったように対応は後手になってしまうことは仕方ありません。行政側でどのような手を打ったとしても、結果的にイタチごっこに終始するかもしれません。ですがECがここまで社会生活に馴染んでいますので、永遠の課題ですけれども、消費者の立場から見て苦情のない製品・サービスであることが望まれます。

相談件数のTOP25(2020年度 単位:件数)

出所:独立行政法人国民生活センター 消費生活年報2021