■データの出所

一般社団法人日本百貨店協会 令和3年12月 全国百貨店売上高概況より作成

■データの概要

コロナにより百貨店の売上高が激減していることはよく知られています。一般社団法人日本百貨店協会によりますと、2021年の全国百貨店売上高は4兆4,183億円。前年比で5.8%の増加です。2020年がコロナ初年であったため、2021年はやや持ち直したということでしょう。2022年の状況ですが、2021年を上回る売上高をあげているようです。外国人観光客の受け入れが再開され、今後制限がさらに緩和されればさらに売上高は上昇するでしょう。

■データの視点

本データの視点は次の3点です。1点目ですが、回復基調にある売上高の内訳を見ると、紳士服よりも婦人服の伸び率が高い傾向にあります。また身の回り品では美術・宝飾・貴金属の伸び率が高いようです。このことは女性がいち早く消費行動を起こしていることの表れでしょう。ただし化粧品はそれほど伸びていないようで、とても興味深く感じます。2点目ですが、次の棒グラフにあるように、元々百貨店売上高は長期トレンドとしては微減にありました。外国人観光客によるインバウンド消費がかろうじて救っていたと思われます。売上高の回復が見込まれるとは言え、微減の長期トレンドに大きな変化はないのではないでしょうか。3点目の視点は2点目と関連するのですが、コロナ禍において百貨店各社による売上高が激減しましたので、EC強化を含むデジタル強化が推し進められています。伊勢丹三越は21年度のオンライン売上372億円を24年度には600億円超に、高島屋は21年度のネットビジネス売上323億円を23年度には500億円に、J.フロント リテイリングも’21年度のオンライン経由売上高150億円を’23年度には400億円に、それぞれ目標設定しています。目標数値が高いので、本気度の表れと思います。

全国百店売上高の経年推移(単位:億円)

出所:一般社団法人日本百貨店協会 全国百貨店売上高概況より作成