日本の個人消費にあたる家計最終消費支出は約280兆円(2020年の名目実額)と、2000年からの20年間でほぼ横ばいで推移してきました。そのような状況を尻目に、EC市場は年々大幅に拡大してきており、その勢いはまだ衰えていません。EC市場を日々ウォッチしていると、販売チャネルの融合、SNSの活用、物流の最適化など、いくつかの大きなテーマが同時進行しており、停滞する日本経済のなかにあって、マーケットのダイナミズムを常にダイレクトに感じ取ることができます。しかしながら、企業単位での動向に目を向ければ、たくさんのアクティブな動きが見られる一方で、全体を通して見るとたとえ大手企業であっても企業間でECに関する温度差が大きいことがわかります。ECはリアルチャネルを含めた流通構造を新たな全体最適に導くものですが、この温度差は、部分最適にとどまっていることを示すものと私は捉えています。同時に、ECが流通構造に与える変化を正しく捉え、企業に対して最適な羅針盤を示すことができる存在が、いまだ日本には不十分であると考えています。

私は、大手総合シンクタンクにおける長年の活動の中で、幸運にも経済産業省の電子商取引市場調査を2014年から2020年にかけて手掛けさせていただきました。この調査研究活動を通じてたくさんの事業者の方々と接し、たくさんの文献を目にし、多くの有識者の方々にご指導いただき、その結果としてECに関する造詣を深めることができました。そして、その極められた知見と豊富な経験をいまこそEC市場、EC業界に還元し、最適な羅針盤を示す役割を担うべきとの使命感から、弊社を立ち上げるに至りました。社名は「デジタルコマース」というキーワードを冠しています。ECを中心とした活動が中心ではありますが、ECによってもたらされるコマース全体のゼジタライゼーションを対象に、リサーチ、コンサルティング、事業開発支援等を推進していく所存です。デジタル化は流通構造を新たな全体最適へと導くとの信念のもと、微力ながら日本の産業振興に貢献していきたいと考えています。

株式会社デジタルコマース総合研究所
代表取締役
本谷 知彦

代表者概要

元 株式会社大和総研 コンサルティング本部 チーフコンサルタント

1990年大和総研入社。
証券システム系SEを10年間経験後、大和証券グループ本社に出向しネット戦略部門を3年間担当。
大和総研に帰任後IT専門の社内研究所で主任研究員として4年間研究に従事。

その後金融システム系のコンサルタントを経て、2013年に主に日本の産業の海外進出に関する調査コンサルティング部門にシニアコンサルタントとして所属。
2017年担当部長兼チーフコンサルタントに就任。

越境ECでの海外進出の可能性に着目したことから、2014年に経済産業省の電子商取引市場調査を手掛け始め、越境ECのみならず国内ECについても深く調査研究活動を開始。
最終的に2014年から2020年にかけて、7年連続で同案件に従事。

以上の略歴から、国内外のECを含むデジタルコマースを得意としながらも、IT、経営戦略、海外進出、マーケティングリサーチ等幅広いテーマをカバレッジ可能。
2021年12月末に同社を退職し、2022年1月弊社を設立。現在に至る。