■データの出所

経済産業省:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)

■データの概要

記念すべき第1回目は、2020年の日本のEC市場規模である、12兆2,333億円という数値を紹介します。この数値は経済産業省が毎年発表している電子商取引市場調査における数値であり、EC関係者なら恐らくどなたでもチェックしている数値と思われます。幸運にも弊社代表の当方が2014年~2020年にかけて7年連続で同案件を担当させていただきました。そのような経緯があり、記念すべき第1回目に紹介させていただいた次第です。

■データの視点

この数値はEC市場規模の中で、いわゆるネット通販に相当するBtoC-ECの物販系の市場規模です。EC市場規模は物販系以外にも、旅行、理美容予約、フードデリバリーといったサービス分野、そして、スマホゲーム、電子書籍、音楽配信といったデジタル系があります。ちなみにそれらを総合したBtoC-EC全体の市場規模は、2020年で19兆2,779億円になっています。

12兆2,333億円といわれてもピンときませんよね?ちょうど日本のスーパーマーケットの市場規模が同じくらいです。また、コンビニが10兆円程度です。それらとほぼ同じ規模ですので、物販系EC市場規模がいかに大きいかおわかりいただけると思います。しかしながら、日本の個人消費の全体額は約284兆円(※1)、そのうち物販系は150兆円程度(※2)です。したがって、EC化率(分母に物販系の個人消費、分子を物販系EC市場規模とした率)は2020年で8.08%に過ぎません。

日本のEC化率は実は諸外国よりも低いことが分かっています。中国は既に30%を越えており、米国も15%程度です(※3)。この比較をもって「日本も同じくらい伸びる」という方々もおられます。しかしながら、日本は小売店舗網が諸外国と比較しとても整備されており、生活圏、生活同線上に都合よく位置しています。よって、15%は超えるとは思いますが、中国のように30%を超えるのは相当困難と私は見ています。実店舗であれネットであれ、消費者が便利に買い物できる環境が整備されていることが一番ですので、日本は日本なりのスタイルを構築していけばよいのではないでしょうか。

■関連するデータ

※1 日本の個人消費の全体額:約289兆円(出所:内閣府GDP統計 2020年名目暦年における民間最終消費支出)
※2 ※1の数値と総務省統計局家計調査の数値を用いて独自に算出
※3 諸々のデータを用いて独自に推定

 

日本のEC市場規模<BtoC-EC物販系>の経年推移

出所:経済産業省令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)をもとに作成